2010/04/27

マレーシア Strategic Trade Bill 2010について

先週一杯まで、北京での輸出管理セミナーに参加しておりました。なぜか北京のホテルからはこのブログサイトにアクセスできませんでした。他のサイトはほぼ問題なくアクセスできたことを考えると、Googleのブログサイトなので、おそらく中国国内からは検閲でアクセス不可だったのでしょう。


マレーシアは従来、4大レジームに対応する有効な国内の輸出法規制が存在せず、イランやリビアへの横流れの「抜け穴」と見られていました。
しかし状況は変わりそうです。2010年4月上旬にマレーシア国会で Strategic Trade Bill 2010が可決され、マレーシアも先進国並みの輸出管理法制度を備えるべく、第1歩を踏み出しました。
この背景には米国政府からの強い圧力があったとも言われています。
この法案はすでに英語で公開されています。以下はその法案を読んでのポイント概略です。

  • 規制品目リストは未だ未発表:  一番気になるのは規制品目リストがワッセナーのデュアルユース品に対応していて番号がECCNタイプなのかどうかでしょう。これは実はまだわかりません。Strategic Trade Bill 2010には、後日 Gazette に大臣により発表されるとあるだけです。
  • 規制対象のトランザクションは、輸出だけでなく、transshipment, transit, brokering, intangible technology transfer と広範囲を網羅している。また、大臣は規制エンドユーザーを指定することができるとあります。国連安保理決議 1540号 (UNSCR1540) や、キャッチオール規制の考え方にに対応する法制と言えます。
  • 厳しいペナルティ:  違反への罰則は、最高で死刑・終身刑です。(これは故意の違反で武器にに関連し、そして違反の結果死者が出た場合に限定されます。) しかし故意でなく、違反品目が武器以外であったとしても、個人には5年を超えない懲役・500万リンギット(US$で約150万)、法人には1,000万リンギット(US$で約300万)が最高と厳しいものになっています。
  • 管轄省庁はおそらく Ministry of International Trade and Industry ("MITI") と言われている。(法令上は言及しておらず、後で大臣を指定する形。ニュース発表ではおそらくMITIであろうとのことです。)
  • 域外適用条項あり: 条文では米国の輸出管理の様に域外適用を言及しています。ただし実際の運用はどのようになるかは定かではありません。
    Extra-territorial application4. (1) This Act shall, in relation to any person, whatever his nationality or citizenship, have effect outside as well as within Malaysia, and where an offence under this Act is committed by any person in any place outside Malaysia, he may be dealt within respect of such offence as if the offence was committed at any place within Malaysia.
結論から言うと、まだ実際の輸出管理がどのようなものになるか、この法案からでは漠然とした姿しか見えてきません。しかし企業としては、輸出管理体制の構築は一夜ではできませんので、今後の動向をモニターしつつ、下準備を進めておきたいものです。


(Source: http://www.parlimen.gov.my/billindexbi/pdf/DR042010E.pdf )

1 件のコメント:

  1. 匿名4/29/2010

    かま猫と申します。
    "STRATEGIC TRADE BILL"で検索中、こちらに辿り着きました、これからも、拝見させて戴きます。
    ところで、中国で商務部公告2007年第69号が発行された後は中国の企業は体制を整備しているのでしょうか、それともモデルCPの発行をまっている状態なのでしょうか?

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