2010/03/27

フレイトフォワダーの輸出違反

BISから最近アナウンスされた輸出違反で、フレイトフォワダーの G&W International Forwarders が2万ドルの罰金と、社内監査によるコンプライアンスチェックの処分を受けています。

http://efoia.bis.doc.gov/exportcontrolviolations/e2158.PDF

違反内容は、EAR99品目である “Stack Sizer Screening Machine” をインドのEntity List 企業に無許可で輸出したということです。残念なのは、このインドのEntity List掲載企業のケースの場合は、輸出許可がおりないという厳しいものではなく、「ケースバイケースで審査され、EAR99 品目の場合は推定許可」という注釈が付いています。つまり輸出前にきちんとチェックがされ、BISに申請さえしていれば何の問題もなかったわけです。

EAR99品目のEntity List 掲載企業への輸出違反は、インド、中国、UAE、香港、パキスタン、マレーシアなどが多いせいか、違反事例では頻繁に目にします。注意したいものです。

また、最近、米国の輸出管理でフレイトフォワダーの違反摘発や罰金が多いように思われます。
BISもそのへんは認識していて、フレイトフォワダー向けのガイダンスを作ってWebに掲載したりしています。 「荷主に言われたから。。。」というマインドを持ち続けていては、今後自社の身に危機が降りかかるかもしれません。

2010/03/24

米国とアジアの輸出管理基礎セミナーのご案内

【ジェトロ・シンガポールからのお知らせ】

米国と日本、シンガポール等の輸出管理の基礎セミナーのご案内

2010年4月12日(月)10:00-12:00



この度、ジェトロのシンガポールオフィスの依頼を受けまして、筆者が米国とアジアの輸出管理についてセミナー講師をすることになりました。 場所はシンガポールになりますが、日系企業を対象にして、日本語で行います。

(以下はJETROシンガポールによるセミナー案内分になります)

新興市場への輸出が拡大する一方で、ハイテク製品の輸出管理の重要性は年々高まっています。

 日米欧のみならずシンガポール等先進各国は管理体制の整備を進めており、企業にとっては規制違反時の制裁等によるリスクを回避することが重要となっています。

 日本では09年11月から違反時の罰則が強化されており、また自国法の域外適用のある米国法違反の場合は一層ダメージが大きくなります。シンガポールは国際輸出管理レジームには加盟していませんが、08年1月にワッセナー協約対象品目をほぼ網羅し、戦略物資規制法の下、大量破壊兵器キャッチオール規制も導入し、日米欧並みの輸出管理体制を整備しています。

 最近の動向では、08年12月のワッセナー合意を反映した新輸出管理規制が、EUでは09年5月、米国では09年12月に施行され、日本およびシンガポールでは今年4月に施行されます。

 こうした国際的な輸出管理体制の整備を受け、ジェトロ・シンガポールでは、通商弁護士事務所のブライアンケイブ、シンガポール日本商工会議所との共催により、「米国と日本、シンガポール等の輸出管理の基礎」をテーマにセミナーを開催いたします。

 ブライアンケイブ・インターナショナルトレード(株)の兼光達也シニアマネージャーを講師に、(1) 輸出管理の意義、(2) 国際輸出管理レジームと米・日・シンガポールの法規制、(3) 米国の再輸出規制、(4) シンガポールの輸出管理、(5) 違反事例と自主開示制度、(6) 違反回避のためのコンプライアンス上の留意点、等についてわかりやすくご紹介いたします。

 シンガポールはハイテク貿易が盛んな物流拠点でもあります。輸出管理制度にご関心のある日系企業の皆様におかれましては奮って参加くださるようご案内申し上げます。

                 記

■日時: 4月12日(月)10:00~12:00(9:30受付開始)

■場所: Japanese Association(日本人会館)2F ボールルーム
     120 Adam Road  TEL: 6468-0066
     シンガポール

■定員: 80名(無料)

■主催: ジェトロ・シンガポール、ブライアンケイブ、
      シンガポール日本商工会議所(JCCI)

■次第:

 10:00-10:10 主催者挨拶

 10:10-11:40 「米国と日本、シンガポール等の輸出管理の基礎」
         ブライアンケイブ・インターナショナルトレード(株)
         シニアマネージャー 兼光達也

 11:40-12:00 Q&A

■お申し込みは下記URLからお願いいたします。
 https://www.jetro.go.jp/form/fm/spr/export100412

■照会先:[内容]  久富(6429-9502)、SPR@jetro.go.jp
     [登録方法]  キーワイ(6429-9515) 和田(6429-9504)

2010/03/17

中国での輸出管理コンプライアンスサミット

来月4月19日から21日まで北京で China Summit on Export Control Compliance が開催されます。
輸出管理コンプライアンスに関するセミナーで、トピックとしては米国輸出管理、日本を含むアジアの輸出管理、中国の暗号規制などかなり幅広いものです。
参加者はグローバル企業のトップマネージメントやリーガルカウンセルがメインです。
言語は英語で、場所は北京のマリオットホテル (Beijing Marriott Hotel Northeast) です。
http://www.americanconference.com/ChinaExport.htm

何でこんな宣伝をブログでするのかと申しますと、筆者自身がスピーカーとして Workshop Bの部で日本・香港・シンガポールの輸出管理についてお話をするからです。
参加企業を見ると米国のグローバル企業と中国の企業ばかりが目立ち、日本企業は参加していないようです。(参加企業例: AMD, Airbus, Boeing, Ericsson, GE, GM, Huawei, IBM, Intel, Sun Microsystems, Texas Instruments など)

サミット主催者としては日本企業からの参加もぜひ増やしたい意向のようで、スピーカーである私自身にも宣伝を御願いしてね、ということです。(弊社としては特に義理立てする筋あいはないのですが。。。まあ参加者が増えると嬉しいですし、日本人が私一人だとさびしいものもあります。)

参加料金がUS$2,000-3,000くらいとちょい高いのですが、私の紹介だとUS$200ほどディスカウントしてくれるそうです。あまり大したディスカウントではありませんが、ご興味の方があればコメント頂ければ会議主催者に紹介します。

2010/03/16

オバマ演説での輸出規制緩和

3月11日のオバマ大統領の演説の中で、輸出管理の緩和をして、米国の輸出を2倍にしよう!という話が出たのは日本の新聞紙上で報道されましたのでご存知の方も多いかと思います。

今日は通勤途上の電車の中でその演説の原稿を読んでいました。
http://www.whitehouse.gov/the-press-office/remarks-president-export-import-banks-annual-conference

実は輸出管理について触れたのはこの演説の中で最後の部分だけで非常に短いです。

Finally, we’re working to reform our Export Control System for our strategic, high-tech industries, which will strengthen our national security. What we want to do is concentrate our efforts on enforcing controls on the export of our most critical technologies, making America safer while enhancing the competitiveness of key American industries. We’ve conducted a broad review of the Export Control System, and Secretary Gates will outline our reform proposal within the next couple of weeks. But today, I’d like to announce two steps that we’re prepared to take.

First, we’re going to streamline the process certain companies need to go through to get their products to market -– products with encryption capabilities like cell phone and network storage devices. Right now, they endure a technical review that can take between 30 and 60 days, and that puts that company at a distinct disadvantage to foreign competitors who don’t face those same delays. So a new one-time online process will shorten that review time from 30 days to 30 minutes, and that makes it quicker and easier for our businesses to compete while meeting our national security requirements.

And second, we’re going to eliminate unnecessary obstacles for exporting products to companies with dual-national and third-country-national employees. Currently, our exporters and foreign consumers of these goods have to comply with two different, conflicting set of standards. They’re running on two tracks, when they could be running just on one. So we’re moving towards harmonizing those standards and making it easier for American and foreign companies to comply with our requirements without diminishing our security. And I look forward to consulting with Congress on these reforms, as well as broader export control reform efforts.

新聞紙上には具体的に書いてなかったのですが、英語で読むと内容が(多少は)具体的にわかります。ようは以下の2点だけです。

  1. 暗号製品のBISによるレビューで、暗号の規制の手続きがわずらわしく、企業の足を引っ張っている。手続きを簡素化をするが具体的にはワンタイムレビューを改善して、今まで30-60日かかっていた期間を何と30分に短縮する。
  2. 米国の技術の輸出は(日本の居住者 --> 非居住者とは違って)、国籍ベースで「みなし輸出」を判定します。それがEARとITARで、dual-national やThird-country-national で取扱いが違っててわずらわしい。これを"harmonize" する。

2.については多少説明が必要でしょう。商務省のEARでは、米国以外の国籍を2つ以上保持している人には、もっとも最近取得した国籍か永住権の国をみなします。しかし、国務省のITAR規定では、それぞれに国両方を見なして、規制が厳しい国向けの規定が適用されます。このように管轄によって二重国籍者への取扱いが違うので、これを何とかしようということです。

もっと具体的にどうするかは2-3週間うちにまたアナウンスがあるようですので期待しましょう。

2010/03/15

タイでのAANZFTAは3月12日より施行

アセアンとオーストラリア、ニュージーランドのFTAであるAANZFTAは今年の1月1日から発効になりましたが、タイではつい先週まで発効してませんでした。

タイの財務省(MOF)は、2010年3月12日に通達を発効し、ようやく3月12日にタイもAANZFTAの仲間入りをしました。

AANZFTAは、オーストラリア、ニュージーランドとASEAN国の10ヶ国(ブルネイ、ミャンマー、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、シンガポール、タイとベトナム)の12の構成国から成ります。
AANZFTAは2009年2月27日に署名され、2010年1月1日から各国の内部手続きを完了したメンバー国から有効になり、現在オーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、ベトナムとシンガポールで実施となっていて、タイも3月12日によやく仲間入りしました。

カンボジア、インドネシアとラオスはまだです。批准の後、60日以内に発効となります。


タイは現在、オーストラリアとニュージーランドとは二国間のbilateral FTAもありますが、AANZFTAは特に物品の原産規定について、タイ-オーストラリア自由貿易協定(TAFTA)やタイ-ニュージーランド経済連携協定(TNZCEP)といった二国間FTAよりもより大きなメリットがあります。

AANZFTAの下では、(タイ以外の)ASEANメンバー国原産の原材料を、オーストラリアやニュージーランドに輸出される完成品の付加価値基準(RVC)の計算にも使用可能です。同様に、オーストラリアやニュージーランドの原産材料が、タイからASEANの他のメンバー国に輸出する製品の付加価値基準 (RVC)の計算に加算して使用できます。

このようにAANZFTAの下では、TAFTAやTNZCEPよりもより簡単に原産資格を得ることができ、特恵関税を享受しやすくなろうかと思います。ですので、商品をオーストラリア、ニュージーランドに輸出する企業、又は生産材料をオーストラリア、ニュージーランドから輸入しASEANの他国へ輸出する企業は、AANZFTAを利用することによって生産コスト削減も可能となります。ぜひAANZFTAをタイでもご利用下さい。

2010/03/11

北朝鮮からの輸入での行政処分


3月10日付けで経済産業省のWeb site に北朝鮮からの輸入禁止の行政処分の記事が出ていました。

輸出管理の世界では「行政制裁: 最大3年の輸出禁止」が有名ですが、輸入の違反の行政制裁はどうなっているのでしょう。この違反の行政処分をサンプルにして根拠法令を整理してみたいと思います。


まず大雑把な理解として、現在日本では北朝鮮からは全貨物が輸入禁止です。

処分対象者は、北朝鮮原産のサルトリイバラ (*) の葉を中国経由で輸入しました。(中国経由でも品目の原産地が北朝鮮なので違反の対象です。)


(*) サルトリイバラって何? (ウイキペディアより引用)

根茎は薬用に使われる。
四国地方などの関西圏以南では、葉が柏餅を包むのに用いられる。
園芸用では、庭園の添景木や、赤く熟す果実は生花にも用いられる。繁殖は 3月頃に播種する。


この輸入違反について、外為法第53条(制裁)の第2項に基づき全地域からの3ヶ月間の輸入禁止の行政処分となりました。輸入禁止は第3者を介しての輸入にも適用されます。

この外為法第53条2条では「貨物の輸出または輸入に関し、・・・ 1年以内の期間を限り・・・輸入を禁止することができる。」とあります。 安全保障の輸出違反(外為法48条の違反)の制裁は、53条の第1項で、これは最大3年ですので、これとは違って少し軽いです。
今回のケースは最大1年の輸入禁止のところを3ヶ月ですんだ、ということになります。


さて、この輸入禁止措置の根拠法令はどうなっているのでしょう? 

これは外為法第52条(輸入承認の義務)が根拠で、さらに輸入貿易管理令の第3条第1項に基づく輸入公表で、経済産業大臣の承認を要する貨物というのがリストされています。この輸入の承認を受けるべき貨物は公表で、輸入貿易管理令第4条第1項第2号による輸入承認を受ける、として品目によっては魚類やダイヤモンドなどHSコードにて指定がありますが、北朝鮮については「全貨物」としてリストされていますので容赦ないです。


あと、輸入禁止に関連する措置として仲介貿易取引も禁止ですし、輸入代金支払いの禁止も規定されています。とにかく「全面的に」貿易禁止措置が取られています。


善意の日本の貿易業者は北朝鮮との輸出入禁止は理解しておられますので今更こんな説明も必要ないでしょうが、外資系企業で働いていると、日本の事情を知らない海外の人に、日本ではどの法律を根拠にどういった措置が取られているかを客観的に(英語で)説明する必要がありますので、何でこんなペナルティが科されたのかを根拠法令まで遡ってチェックする癖をつけとくと、聞かれたときにすぐ応えられます。

2010/03/10

ベトナム、関税評価でロイヤルティを含めなくてよい?

あるニュースレターを読んでいて、おもしろい記事を見つけました。
Vietnam: Import duties no longer levied on royalties for the use of brands, patents or know-how?

内容は、ベトナムでは外資からの技術やノウハウの流入を阻害せず助長するために、輸入品の関税評価でロイヤルティや特許権・商標権などを関税の課税価格に含めなくてよい、とする通達を2010年1月に財務省から出されたそうです。

ベトナムは2007年にWTOに加盟してますし、日本と同様に、これらロイヤルティ関連費用は関税の課税価格に含めるべし、とされていました。(Circular 40 / TT-BTC issued on May 22, 2008)
しかしながらこれが通達により (Notice 22 / TB-BTC on Janunary 13, 2010)、例外を認める格好です。

具体的には課税価格に含めなくて良いものは、「海外の事業者に契約により継続的に支払われている商標料や特許料などのノウハウであり、輸入時にその価額を決定できないもの」だそうです。

当然、ベトナムの輸入者で、このようなロイヤルティを海外の事業者に支払ってきて、輸入品の課税価格に算入してきた企業にとっては節税によるコスト削減の機会となります。
ただし、すべての種類のロイヤルティが課税価格に不算入になるわけではないので、個別の適用にあたってはケースバイケースで難しい判断に迫られそうです。ガイドラインはおそらく今後、ベトナム税関から示されることになるはずです。また過去にこのようなロイヤルティを支払った企業への関税還付がなされるかどうかも不透明です。

いずれにしても関わりのある企業にとっては、本件の情報収集とベトナム税関とのコンタクトを密に取ることをお奨めします。

2010/03/05

タイのROH

ROHと書くと、貿易に通じている方にはRoHS(ローズ)指令(特定有害物質の使用制限)のことか?とすぐ思われますと思いますが、Regional Operating Headquarters、地域統括本社のことです。

タイや他のアセアン諸国では、ROHの機能を持つ法人に対して税制優遇を適用しています。
海外またはタイ国内の関連会社または支店への経営・技術・サポートサービスを提供する、タイの法律に基づいて設立された法人組織であればROHになります。

ROHには様々な税優遇措置があります。ROHの海外の関連会社や支店から提供された所定のサービスから発生する利益には法人税が30パーセントから10パーセントに軽減され、また外国人駐在員のROHから支払われた収入への個人所得税も軽減され、通常の累進税率ではなく4年間一律15パーセントのフラット税率になったりもします。

日本の法人税の実効税率は40%前後ですし、個人所得税も収入の高い人で税率の高い国の人ならば15%というのは魅力的でしょう。

ROHの根拠法は、7年前に施行され、タイを東南アジアでのROHの設立中心拠点とすべく振興してきましたが、現在タイではROHが数にして100以下しか設立されていません。Asia Pacific の地域本社をどこに置くかを考えたら、税制だけでなく、インフラや人材も大きなポイントですのでシンガポールや香港に比べるとタイは少し厳しいかもしれません。
ですのでタイでのROHの設立をより魅力的なものにするために、タイ政府も色々と次の施策を考えているそうです。

貿易のFTAやEPAに目を移すと、アセアンというくくりでは、日本・中国・韓国とFTAを締結してますし、今年の1月からはインドと豪州・ニュージーランドとも一部発行しました。EUとも交渉中です。
シンガポールとベトナムは個別にEUとFTA交渉を始めました。
いわゆる大手のマーケット地域とFTAを締結し、外国からの投資を呼びかける姿勢も評価できますし、今後ますますタイやアセアンの貿易や投資での重要性は増しそうです。目が離せませんので今後ともウオッチを続けていきます。

2010/03/02

CJのRWAが3年で3倍に増える

タイトルだけでは何のことやらわかりませんね。
CJとはCommodity Jurisdiction で、RWAはReturned Without Action です。
製品がEARのCCLに分類されるか、ITARのUSML になるかの判定がCommodity Jurisdiction です。 ITARはEARに勝るので、ITARのUSMLに分類されるとEARの対象外になり、ITAR規制製品となります。このお伺いをDDTC (Directorate of Defense Trade Controls) に出すわけです。

発表された数字では、CJでRWAとして突き返された申請が3年で3倍になったということになります。
2007年は6%だったのが、2009年には18%になったとのこと。
CJの申請自体も数が増えて、3年で2倍になり、2009年は817件の申請でした。

RWAが増えたのには複数の理由があるそうで、申請フォームが新しくなったとか、運用の厳格化とか、60日デッドラインルールのせいだとか、いろいろです。申請自体の数が増えたのも理由のひとつでしょう。

また、CJによりCCLに分類された割合も低下しているとのこと。2009年の817件の申請のうち、55%がCCLのEAR管轄になり、21%がUSMLのITAR管轄になり、5%が両方の管轄に分解されたそうです。
これは2008年の70%がCCL、20%がUSML 、7%が両方分割に比べて、EAR側の比重が減っています。

この数字は母数が少ないですし、3年という短い期間から傾向を云々するのも差し控えますが、RWAの差し戻しになると企業にとっては時間・コスト・機会の損失になりますので、信頼できるLaw firm のプロフェッショナルに相談することがお勧めです。

(Source: Washington Tariff & Trade Letter - 03/01/2010)

2010/03/01

AEOの世界各国での名称

貿易に携わる人にとって最近の関心事項のひとつにAEOが挙げられると思います。
AEO = Authorized Economic Operator

このAEOステータスの良い点は、もちろん自国での輸出入でのスムーズで迅速な通関がありますが、長期的には他国との相互認証による利点もあげられるでしょう。
現在、日本はニュージーランドと米国とAEOの相互認証を持ち、日本でのAEOステータスはこれら相互認証国でも"respect"されるはずです。ただし、米国のAEOにあたるC-TPATは米国への輸入のみの条件であり、米国からの輸出での条件がありませんので、故に日本での輸入では対象外となる、いわゆる片肺飛行のような状態です。

日本も将来的にはEUやカナダ、シンガポールなどとのAEO相互認証を検討しています。
この際、どこの国にAEO制度があるかがポイントになりますが、これが面倒くさいことに各国によって呼名が違います。WCOの資料によればAEOに相当する制度を持っている国では現在、以下のように呼ばれています。

  • EU AEO
  • US Customs Trade Partnership Against Terrorism (C-TPAT)
  • Canada’s Partners in Protection
  • Sweden’s Stair-Sec
  • Jordan’s Golden List
  • Singapore’s Secure Trade Partnership
  • Malaysia’s Customs Golden Client
  • Japan’s AEO Programme
  • New Zealand’s Secure Exports Scheme (SES) and
  • China’s AEO Programme

EUや中国は素直にAEOですが、ヨルダンやマレーシアはパッと見てすぐにはAEOとはわかりませんね。今後、各国のAEOの詳細についても取り上げてみたいと思います。