2010/02/20

HSコードのトリビア

日本の関税率表は、HS条約と呼ばれる国際的取り決めに基づいています。
このHS条約は、1988年1月から発効しており、現在は日本をはじめおよそ136カ国・地域が加盟しています。HS条約の附属書は通称「HS品目表」と呼ばれており、あらゆる商品を組織的・体系的に分類するための品目表です。日本の関税率表は、当然、HS品目表に準拠しています。

上の6桁は世界共通で、それ以降は各国によって異なります。日本の場合、下の3桁を統計品目表の細分番号として使用しています。
(例: 2402.20.000 紙巻たばこ(たばこを含有するものに限る。)

ここまではトレードコンプライアンスをかじっている人間なら誰でも知っていることです。
最近、たまたま仕事上の関連で知りえたHSコードのトリビアを披露します。

1) 日本にないHSコード
HS条約の付属書にありながら日本の関税率表にない品目があります。
それはHSコード2716の電気エネルギーです。税関の関税率表を見ても2715まではあるのですが、2716は確かに存在しません。日本は海に囲まれた島国ですので電力の輸入がありません。
ただし大陸の国々ではありえます。なので他の国の関税率表を見ると2716は多くの国で存在します。
たとえばこんな具合です。

Singapore: 2716.00.00 - Electrical energy MFN Free
USA: 2716.00.00.00 - Electrical energy MFN Free
India: 2716.00.00 - Electrical energy MFN Free

ちなみに日本と同じような環境で他国から電力を輸入しそうにない国ではどうでしょう?
調べてみたところ、オーストラリアやニュージーランドではデーターベースに存在しませんでした。
やはり日本と同様、関税率表に存在しないのかもしれません。(FedEx World Tariff による)

2) HSコード6桁以降の分類がメーカーのブランド別 !
HSコードの上6桁は世界の大半の国で統一されており、それ以降の桁は各国独自の番号であることは述べたとおりです。普通、この下の桁の決め方は客観的な製品の特徴や技術的スペックなどで決められていることが多いです。日本の関税率表を見ても、なんだかよくわからないおもしろくない表現です。
たまたま世界各国のFTAを調べていて見つけたのですが、グルジアのタバコ(HS code 2402) は、これをメーカーのブランド別に分けています。
こんな具合です。

2402.20.900.01 - - - Marlboro 12%
2402.20.900.02 - - - Winston 12%
2402.20.900.03 - - - Camel 12%
2402.20.900.04 - - - Parliament 12%
2402.20.900.05 - - - Knet 12%
2402.20.900.06 - - - L and M 12%
2402.20.900.07 - - - Virginia Slims 12%
2402.20.900.08 - - - Davidoff 12%
2402.20.900.09 - - - Lucky Strike 12%
2402.20.900.10 - - - Gauloises 12%
2402.20.900.11 - - - Magna 12%
2402.20.900.12 - - - West 12%
2402.20.900.13 - - - Pall Mall 12%
2402.20.900.99 - - - Other 12%

これは珍しいです。下6桁以降とはいえ、車や電気製品をメーカーのブランド別に関税分類するようなもので、日本ではありえないと思います。これって知っててもなーんの役にも立ちませんが、へえーというトリビア知識になりませんか?

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