実は、このNORINCOですが、自社内ではInternal Compliance Program ("ICP")を保持し、しっかり社内で輸出管理をしていることをアピールしています。
先月に北京にて開催されたExport Control Sumit (*)にてNORINCOがプレゼンを行い、いかに彼らが優れたICPを保持・実施しているかを力説しておりました。
(*) 筆者はこの会議に参加し、発表を聞いてきました。参加企業は主に米国系大企業とその中国法人。ですので米国人のリーガルカウンセル、シニアーマネージメント、トレードコンプライアンスマネージャー、米国BISや米国大使館から、米国人および中国人が大半でした。
日本企業は参加しておらず、日本人も(私を除いて)参加された方はいらっしゃらなかったようです。
その中でNORINCOがICP Implementation について素晴らしいプレゼンを行いました。
その要旨は:
- 確かに軍需産業品目も扱っているが、機械・鉱工業・輸送・インフラ関連の民生品ビジネスが今や売上の85%を占める
- Weaspon of Massive Destruction ("WMD")の拡散ビジネスには全く関与せず、企業ポリシーとして明確に否定し、ICPでもBasic Value としてWMDには一切関わらないことを宣言
- ICPでは企業コミットメント、組織としての責任の明確化、コンプライアンスプロセス、教育・トレーニング、記録保持、監査の手続きを明確に定めている
- 中国国内の法令順守、国連安保理の決議への賛同、国際平和への協力・サポート
- 社長直轄のICP Council を設置し、コンプライアンスの責任機関とする。またICP Office を日常業務やICP Councilの事務局として設置。
- Automating Compliance ProcessをITシステムとして導入、自動でトランザクションのコンプライアンスチェックを実施
- 社外監査として、米国のUniversity of Georgia Center for International Trade & Security からレビューを受ける
このような内容で、ICP implementation の事例としては文句の付けようがなく、ベストプラクティスとして紹介できる内容でしょう。まさに「優れた輸出管理を行っている企業」であり、日本国内ではこのレベルまでには到達していない企業はたくさんあります。
しかし、NORINCOをグーグルでサーチすると、武器取引での後ろ暗い過去や、米国政府からも制裁リストに載ったなど、「要注意取引先」を示唆する過去は簡単に見つかりますし。今現在も外国ユーザーリスト掲載企業ですので、いくら優れたICPを持っていても、輸出に際してはキャッチオールの需要者案件に該当することには変わりありません。
NORINCOに関するこの2つの対照的な事実は、どう解釈すれば良いのでしょうか? いつか外国ユーザーリストからはずされる日が来るのでしょうか? 外国ユーザーリストは毎年のように改正されますので次回の改正、おそらくもうすぐでしょうが、少し注意してみてみたいですね。
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