2010/03/11

北朝鮮からの輸入での行政処分


3月10日付けで経済産業省のWeb site に北朝鮮からの輸入禁止の行政処分の記事が出ていました。

輸出管理の世界では「行政制裁: 最大3年の輸出禁止」が有名ですが、輸入の違反の行政制裁はどうなっているのでしょう。この違反の行政処分をサンプルにして根拠法令を整理してみたいと思います。


まず大雑把な理解として、現在日本では北朝鮮からは全貨物が輸入禁止です。

処分対象者は、北朝鮮原産のサルトリイバラ (*) の葉を中国経由で輸入しました。(中国経由でも品目の原産地が北朝鮮なので違反の対象です。)


(*) サルトリイバラって何? (ウイキペディアより引用)

根茎は薬用に使われる。
四国地方などの関西圏以南では、葉が柏餅を包むのに用いられる。
園芸用では、庭園の添景木や、赤く熟す果実は生花にも用いられる。繁殖は 3月頃に播種する。


この輸入違反について、外為法第53条(制裁)の第2項に基づき全地域からの3ヶ月間の輸入禁止の行政処分となりました。輸入禁止は第3者を介しての輸入にも適用されます。

この外為法第53条2条では「貨物の輸出または輸入に関し、・・・ 1年以内の期間を限り・・・輸入を禁止することができる。」とあります。 安全保障の輸出違反(外為法48条の違反)の制裁は、53条の第1項で、これは最大3年ですので、これとは違って少し軽いです。
今回のケースは最大1年の輸入禁止のところを3ヶ月ですんだ、ということになります。


さて、この輸入禁止措置の根拠法令はどうなっているのでしょう? 

これは外為法第52条(輸入承認の義務)が根拠で、さらに輸入貿易管理令の第3条第1項に基づく輸入公表で、経済産業大臣の承認を要する貨物というのがリストされています。この輸入の承認を受けるべき貨物は公表で、輸入貿易管理令第4条第1項第2号による輸入承認を受ける、として品目によっては魚類やダイヤモンドなどHSコードにて指定がありますが、北朝鮮については「全貨物」としてリストされていますので容赦ないです。


あと、輸入禁止に関連する措置として仲介貿易取引も禁止ですし、輸入代金支払いの禁止も規定されています。とにかく「全面的に」貿易禁止措置が取られています。


善意の日本の貿易業者は北朝鮮との輸出入禁止は理解しておられますので今更こんな説明も必要ないでしょうが、外資系企業で働いていると、日本の事情を知らない海外の人に、日本ではどの法律を根拠にどういった措置が取られているかを客観的に(英語で)説明する必要がありますので、何でこんなペナルティが科されたのかを根拠法令まで遡ってチェックする癖をつけとくと、聞かれたときにすぐ応えられます。

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