2011/04/20

HS code 表をiPhoneで持ち歩く

HS code 表をiPhone にダウンロードできるアプリがあるので早速試してみました。
これは日本語版は存在せず、英語版のみになります。115円です。
http://www.hscodehandbook.com/

ただしHSコードだけで、税率はありません。HSコードは6桁までの情報です。

用語で検索もできます。しかし用語はあいまい検索ではなくexact match です。
つまり、HS code 8471 にあたるPCやコンピューターなんかも、"PC" とか "computer" では検索できず、"automatic data processing machine" というどれかの言葉でないと検索できません。

iPhone で常にHS codeを持ち歩いて参照できると便利なことってあるのでしょうか?
しばらく使って試してみたいと思います。

2011/04/15

アジアパシフィックの本部として最適の都市は?

MNC (Multi National Company) のアジアパシフィック (AP) の本部を置く都市はどこが一番人気があるのでしょうか? ある欧米の商工会議所が調査を行い、その結果をたまたま入手しました。
発行は2011年ですので調査の元データーはおそらく2010年のものでしょう。

調査の項目や基準は、以下の通りです。
  1. 顧客やマーケットに近いこと
  2. 法制度環境の友好度
  3. 安定した政治環境
  4. 友好的なビジネス環境
  5. 有利な税制環境
  6. 優れた人材のアクセス環境
  7. オペレーションコスト
  8. 透明性がありマーケットアクセスが容易
  9. 生産設備や工場へのアクセス
  10. ディストリビューションチャネルへのアクセス
以上のポイントを総括的に評価すると、ベスト10は以下の都市になるそうです。
  1. 上海
  2. 香港
  3. シンガポール
  4. 北京
  5. 広州
  6. 深セン
  7. 東京
  8. クアラルンプール
  9. バンコク
  10. ソウル
ベストスリーの都市は、ああやっぱりね、という感じですし、実際にAPの本部を置く企業は多いです。
広州や深センなど中国の都市が東京より上なのは、やはり中国の勢いを感じます。
この調査のデーターはおそらく2011年3月の東日本大震災より前でしょうから、東京の位置づけは7位から今後落ちていくと思われます。地震以降、拠点を東京から大阪あるいはアジアの他の都市に移した企業も多いと聞きます。

私見ですが、東京へAPの本部を誘致を本気で考えるなら以下の3点の改善は必要でしょう。
  1. マーケットの拡大や技術革新の展望を示す
    人口が減少し、マーケットが小さくなっていく場所に好き好んで投資を続ける企業はありません。移民も規制されていますし、様々な考えやバックグラウンドを持った人材が衝突して生み出すイノベーションも期待できない。
  2. 透明性のある法規制、特に不透明な運用をどうにかする
    非関税障壁、日本独自の基準のわかりにくさ、恣意的で神経質かつ細部にフォーカスしすぎの運用、英語での法令が手に入りにくい、など
  3. 人材の不足、優秀な人材へのアクセス改善
    どんな分野にしろグローバルに通用するビジネススキルをもった人材で、英語のみで業務が遂行できる人材の絶対数が国力と比較して少ない。いても大企業に偏っており人材の移動が少ない。
企業を誘致するために高い日本の法人税を5%程度減らす話も、地震の後で立ち消えになりそうです。震災で東京の魅力度がどんどん減っていくことを危惧します。

2010/08/26

JETRO貿易投資白書が無料でダウンロード

JETRO貿易投資白書は毎年出版されており、仕事に役に立つ資料だったので購入していました。
(以前は3,900円 + 税)

現在の2010年版は「ジェトロ世界貿易投資報告」となっています。
なんと今はweb から無料でpdf でダウンロードできます。
また使い勝手がいいことに、章ごとや国・地域ごとに細かくダウンロードできます。 この国の情報だけ知りたい!って人には便利です。
JETRO様どうもありがとうございます!

http://www.jetro.go.jp/world/gtir/2010/

2010/08/24

タイ、付加価値税をさらに減税

8月24日付けの日本経済新聞によると、タイ経済のGDPはデモの影響で一時減速、4-6月は年率では1%成長止まりとのこと。
4-6月の実質GDPの伸び率前期比は0.2%増で、年率換算で14%前後と見られた1-3月期から一転して1%程度の低成長にとどまったもよう。これは3-5月にバンコックで発生した反政府デモにより観光業が打撃を受けたことが響いた。ただし輸出は好調でこれが国内の打撃をカバーしている構図。

このような状況を受け、タイ政府は付加価値税の減税措置を決めている。

2010年8月3日のタイ政府内閣決議により、内閣は財務省が提案した付加価値税の削減対策延長案を承認し、法制度委員会事務局に緊急案件として提出した。
財務省が提案したその対策では、国内経済の低迷を克服するために以前から実施されている付加価値税対策 (付加価値税を10%(地方税を含む)から7%(地方税を含む)に削減)を延長する。
この措置は2010年9月30日までであったがさらに2年間延長する。加えてさらなる付加価値税削減を行い、6.3%とする。

今回の対策の主な内容は、以下の通り。
1. 2010年10月1日から2012年9月30日まで、一時的に付加価値税を6.3%と、さらに削減すること。
2. 2012年10月1日からは、付加価値税を10%に戻さず、9%とすること。

今年に入ってのアジアパシフィック各国とのFTA/EPAの発効もあり、タイは輸出は好調ながら、国内経済は回復途上との認識で、引き続き景気刺激策を取り続ける。

2010/08/23

タイの地域統括本部 (ROH) 税制優遇を拡大

8月23日付けの日本経済新聞で、タイとシンガポールが多国籍企業の地域統括拠点の誘致へ本格的に動き出したとの記事があった。税制優遇の拡大により、加速するアジアの地域経済統合をにらみ、タイとシンガポールで主導権を争う構図である。

この日経新聞の記事は、タイの優遇措置と、シンガポールとの競争の構図を簡潔にまとめてある良い記事である。しかしタイの実際の優遇措置の適用条件は複雑であり、よくよく条件を確認しておく必要がある。以下は今年6月に筆者が翻訳した弊社のニュースレターである。ご興味にある方は参考にされたい。

(英文オリジナル: http://www.bryancavetrade.com/sitebranches/publications/docs/ATA-TH-ROH-May-27-2010.pdf )

タイの新ROHパッケージ

2010年2月10日に開催されたROH(Regional Operating Headquarter: 地域統括本社)の設立に関するセミナーに引き続き、政策開発小委員会はROHの奨励についてのフォーラムを2010年5月24日に、タイ首相のアピシット・ウェッチャシィーワ氏の名前で開催し、新しいROHの利点と条件提案についてのフィードバックを得ることができました。

タイROHプログラムをより魅力的なものにするために、新しいROHパッケージでは海外で得られた適格収益についての制限条件が取り外されました。さらに少なくとも3ヶ国以上の国外企業へのサービスの提供という必須条件も緩和され、これを逐次条件へと改定されました。(例:ROHは初年度は少なくとも1カ国で一つの会社へのサービス提供、3年以内に2カ国へ、5年以内に3カ国へ)それに加えて、ROHが関わる原材料・部品・完成品の調達サービス活動の規定範囲を、関連企業への原材料・部品・完成品の調達から得る貿易収益を含むように範囲拡大がなされました。

税金優遇の面では、海外および国内の会社への規定されたサービス提供から得る収益への法人税率が、「10% - 30%」から「0% - 10%」のレンジへと低減されました。しかしながら、この新ROHパッケージでの法人税の優遇措置は10年の期間制限があり、ROHの規定の条件さえ満たせば15年まで延長できるものの、それには少なくともタイで年間に少なくとも1500万バーツの出費を行う、又は3000万バーツの投資を行わなければなりません。また、ROHの従業員には個人所得税の優遇があり、もしROHが海外企業へのサービス提供で得た収益がROHの総収入の少なくとも50%以上あれば、8年間の通常の累進税率の代わりに、15%のフラットレートが適用されます。しかしながら、この新パッケージは、海外の関連企業や支社からの利子収入とロイヤルティー収入への税率低減は提供していません。

新ROHパッケージについては、個人所得税の優遇措置として、外国駐在員の個人所得税フラットレートや海外での収入についての基準などについて幅広く議論されました。小委員会はこれらの事項について再検討する旨合意しましたが、副蔵相であり小委員会の議長のプラディット・パタナプラシット氏は、この新ROHパッケージは2010年6月1日から有効であると述べました。興味深いことに、この新パッケージは既存のパッケージとの入れ替えではなく、両方とも存続し、企業が選択できるようになっています。

フォーラムでは、新ROHパッケージのいくつかの基準については明確になっていない部分もありましたが、より緩和された基準と改善された利点も出揃い、既存の企業にも新規の企業にも両者に魅力的な機会を提供するものですし、タイでのROHオペレーション企業数の増加を期待できるものと思われます。また現在のFTA環境の活用も視野に入れ、ROHの利用を慎重に計画することにより、タイのみならずその他地域も含めて、ビジネスには必ずや有益なものとなることでしょう。

2010/07/09

マレーシア Strategic Trade Bill 2010の概要

今年4月に発表されたマレーシアの輸出管理法、Strategic Trade Bill 2010 ("STB")の概要が判明しました。

  • リスト規制: EUのリストを採用予定
  • キャッチオール規制: リスト規制品以外の品目で導入する
  • 幅広い規制のスコープ: 通過、積み替え、仲介行為も適用対象
  • 違反への厳しいペナルティ: 最大死刑
  • 導入時期: 2010年12月の予定

マレーシアにて輸出オペレーションを行っている企業は、今年12月から対応できるよう準備が必要となるでしょう。

まだ適用除外の運用、公的な該非判定のサポート、trade facilitation などの詳細が明らかではありませんが、上記を見る限りシンガポールが2008年1月から導入したレベルを目指しているような印象を受けます。

2010/07/08

CEPT フォーム D を2010年7月1日よりATIGA フォーム Dに切替

2010年5月17日よりASEAN物品貿易協定 (ATIGA)がAFTAを継承し有効になったため、10ヶ国のASEAN諸国ではAFTA/ATIGAの特恵関税を利用する際にはCEPTのフォームDの代わりに新しい原産地証明書 (ATIGAのフォームD) を使用しなければなりません。 よってタイ国と他のASEAN諸国では、2010年7月1日をもって新しいATIGAのフォームD を発行・承認することに合意しましたが、便宜措置として輸出入者は2010年11月6日まではCEPTのフォームDを使用することもできます。

実際、外国貿易局ではCEPTフォームDをATIGAフォームDに切り替え発行する準備はすでに出来ています。しかしASEAN諸国の一部ではこの新システムに対応するには依然として準備の時間が必要な国もあり、外国貿易局は新しいATIGAフォームDの発行開始日を2010年7月1日としました。新しいATIGAフォームDはCEPTのフォームDと僅かに異なる部分もあります。例えば、外国貿易局は偽造防止のためATIGAフォームDでの「すかし模様」を変更しました。しかし両方のフォームを記入する際に必要とされる情報は全く同じです。さらに、輸入者はアセアン産業協力スキーム (AICO: ASEAN Industrial Cooperation Scheme) での特恵関税率を利用する際にはATIGAフォームDを使用することができません。これはAICOスキームは1996年にアセアン各国により署名されたAICOスキーム基本協定に基づいているためです。この協定ではAICOの特恵はCEPTの原産地証明書(フォームD)上にAICOの印がある場合にのみ適用されます。ということで、アセアン各国にとってはATIGAフォームD を利用する製品にAICO 特恵を適用する法的根拠が現在まだないことになります。ASEAN諸国は、この問題を修正するために、ATIGAフォームDによりAICO 特恵を利用できるよう、現在AICO基本協定第2次プロトコルを草案中です。

2010年7月1日から輸出企業は外国貿易局にATIGAフォームDをリクエストすることができますが、一方、実際には輸入者側では、その日よりATIGA特恵を利用することはまだできません。税関機関がATIGA下での関税免除・削減に関する通達をまだ発行していないからであり、これはこの通達の根本部分を成す2009年品目別規則(PSR)が未だにタイ憲法2007の第190条により議会で承認されていないからです。したがって、この税関通達が発行されるまでは新しいATIGAフォームDによりATIGA特恵税率の適用はできないことになっています。

この件について税関機関は2010年4月30日にお知らせを出し、当面この間ATIGAフォームDを利用してATIGA特恵適用を希望する輸入者は、通常の税率でまずは関税を支払い、輸入申告の”Remark”欄に“ATIGAの特恵利用権利を保有する”旨を記入し、関連通達が発行された後に支払った関税分を返金リクエストするように案内をしています。また、税関機関はこの通達は2010年7月か8月には発行することができると表明しています。それまでは輸入者は関税減免の特恵を利用する際は、CEPTフォームDを使用するか、又はATIGAフォームDを使用して後日に関税返還権を行使するかのどちらかを選ぶこととなります。

(Source: http://www.bryancavetrade.com/  Asia Trade Alert as of June 28, 2010)