2010/06/04

De Minimis計算をしてみよう!(初級編)

米国の再輸出規制でやっかいで複雑なのはDe Minimisルールです。今回はこれを易しく理解できるようケーススタディを通じて解説してみます。

(状況)
あなたはグローバル企業のアジアパシフィックのトレードコンプライアンスマネージャーです。会社は中国に工場を持っていて、部品を世界各地から調達、最終製品を世界各地に出荷しています。
さて今回、中国の工場でハイパワーレーザーポインターを作ります。この製品は米国原産の6A005の部品を使用します。ただしこの6A005の部品は米国からは許可例外のCIVで輸出されています。
また、この製品は中国の工場で米国原産の技術で作られた4A994のコンピューターチップを含んでいます。また中国原産のEAR99のプラスチックケース、中国原産のEAR99のガラスレンズ、中国原産のEAR99のスイッチ、シンガポール原産のEAR99のロングライフバッテリー、ベトナム原産のEAR99のスクリューが使用されます。

(前提条件: 価格)
- 米国からのレーザー (6A005) は1,000個当たり$8,800で、輸送・保険料はそれに追加で$200
- シンガポールからのバッテリーは中国へのLanded cost で100個当たり$3,900
- 4A994のコンピューターチップは1個当たり$8
- プラスチックケースは1個当たり$0.5
- ガラスレンズは1個当たり$0.5
- スイッチは1個当たり$1.80
- スクリューは1製品に2個必要で2個で$0.20
- プロフィットマージンは1製品に$22、でポインター製品の販売価格は$81

(状況と質問)
- 米国原産比率 (6A005)は $9/$81で、11.1%となる。
- 営業のマネージャーからあなたへの質問です。この製品は輸出ライセンスなしにインドへ輸出できるか? また、もし比率が25%を超えていればどうか?
- 引き続き質問、この製品をイランで売りたいんだけど可能か? もし販売価格を$91にすればどうか?
- この製品をキューバ、北朝鮮、スーダン、シリアへの輸出はどう?

(答え)
- はい、インドへは輸出可能。6A005はCIVも適用できるし、GBSも適用可能。(インドはカントリーグループB) また、インドへは米国の原産比率が25%を超えても可能。
- イランへはDe Minimis は10%が境界線。この製品は11.1%ということで、イランへの輸出は不可。しかし、販売価格を$91にすれば10%を切るので De Minimis基準はクリア。ただし以下を注意。
- その他のATの国もDe Minimisは10%がライン。なので販売価格$81では輸出不可。また、販売価格$91なら、中国の企業が行うのであれば可能。ただしイランやスーダンへは米国人が、その中国企業の行為を手助けするということであればOFACの禁止事項に抵触するので不可。
(Note: General Prohibition in OFAC 560.420 note 1) 


De Minimis のケーススタディとしては内容は単純で初級編なのですが、前提条件だけ実際ありがちな状況にするために少し複雑にしてみました。書いてて少し疲れました。。。
まあこのようなスタディは自宅で酒を飲みながらすることはお勧めしません。
また、このケーススタディはDe Minimis の計算にフォーカスした空想問題で、実際の輸出ではエンドユーザースクリーニングなどその他の条件もありますので、ここから推論して実際のケースに適用するのは止めてください。あくまで理解を助けるトレーニング目的のためのものです。ついでにルールは時を追って変わりますので必ず最新のルールを参照を。

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