2010/01/04

香港の輸出管理リスト変更

昨年の11月13日に香港では輸出管理品目リストの変更が発表されました。これはワッセナーの2008年12月の合意品目やAustralia Group,MTCR, NSGの改定を自国リストに反映させる改定です。
これが今年の2月4日から実際に適用されることになると年末に発表がありました。
ほぼ同様の改定はEU, US EARではすでに2009年内に実施スミ、日本でもほぼ同様の改定が今年の4月1日から施行される予定になっています。

ところで海外の友人でグローバルヘルスケアカンパニーでTrade compliance をやっている人からこの香港のリスト改定に関して2B352のUpdateは反映されてるの?って質問がありました。
2B352って何でしょう? これはAustralia Groupで輸出管理品目として合意された品目で生物・化学兵器の製造にも転用できる製造装置関連品です。具体的には発酵槽、遠心分離機、凍結乾燥器などなどいかにも北朝鮮が欲しがりそうな装置で、日本の輸出貿易管理令では別表1、3の2項にリストされています。

この友人が私に聞きたかったのは、Austrial Group で最近合意され、EUとUSで昨年すでにリスト改正された、2B352.d.1.b.2の以下の変更が香港のリストであるかないかでした。


2B352
(Old) – only b.1
d.1.b.1. Capable of being sterilized
or disinfected in-situ;

(New) – b.2 is added.
d.1.b.1. Capable of being sterilized
or disinfected in-situ; or
d.1.b.2. Using disposable or singleuse
filtration components.


日本の省令(第二条の二、四)では同様部分が以下のようになる予定です。
”クロスフローろ過用の装置であって、次のイ及びロに該当するもの・・・(中略)・・・
ロ、次の(1)又は(2)に該当するもの
(1)定着した状態で内部の滅菌又は殺菌をすることができるもの
(2)使い捨ての部分品を使用するもの

日英両方ともそれぞれ太字の部分が改正部分です。ようは使い捨て部分品が新たに規制対象に加わったということです。
これはAustralia Group の合意なので参加国はそれぞれ各国の国内法令に反映させるはずです。
(注:香港は正式には参加国ではないが、ほぼ同様の規制を持っている。)
ところがこれ、2B352のこの部分の改正がなぜか香港の今度の改正リストには載ってないんですね。
それで友人が私に聞いてきたわけですが、その主な理由は、香港は輸出管理規制品目は輸出時だけでなく、輸入時にもライセンスが必要になる変わったルールを持っているのでグローバルにモノをやり取りする企業は香港のリスト改正はたとえ香港からの輸出がなくても気になってしまうわけです。

香港のリスト改正部分抜粋の記述を何度見ても2B352が載ってないんですね。
http://www.gld.gov.hk/cgi-bin/gld/egazette/gazettefiles.cgi?lang=e&year=2009&month=11&day=13&vol=13&no=46&gn=226&header=1&part=0&df=1&nt=s2&newfile=1&acurrentpage=12&agree=1&gaz_type=ls2


なんででしょう。何かお気づきの方がいらっしゃったらコメント頂ければ幸いです。

(追記)ここで言いたかったのは、レジームの合意内容の国内法令への反映は、国によってあるいはレジームや項番号によって、違いが出てくることがありますので、必ず項目ごとにケースバイケースで確認をすることが大事です。

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