2010/01/12

武器輸出の適用除外トリビア知識?

本日1月12日付のニュースで、防衛相が武器輸出三原則の見直しの為に政府内で議論に前向きな姿勢を示した、という内容が伝わっています。武器輸出三原則は、たとえ自社の製品や技術が武器とは関係ないにしても、輸出管理担当者の知識としては知っておくべき事項でしょう。

武器輸出三原則とは? (外務省HP)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/arms/mine/sanngen.html

経団連からの武器輸出三原則見直し提言 (2009年7月)
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/064.html

原則や方針は上記URLを読めばわかることですが、輸出管理ライセンスマネージメントの為に、以下少し実務知識の補足です。

武器は輸出貿易管理令別表一の1項に該当します。またその技術は外国為替管理令別表1項で規制されています。どこの国に輸出するにしろ該当製品や技術は経済産業省の輸出許可が必要になります。ただし現在はこの武器輸出三原則の立場から、返品や修理の為の輸出以外は原則、申請しても許可が下りない運用がされているはずです。

また通常、輸出規制は該当製品・技術でも適用除外で輸出許可不要になるケース(使用目的や金額など)があるのですが、こと武器の1項に関してはそれが原則ありません。製品の除外特例を規定した輸出貿易管理令第4条でも冒頭に、「ただし別表1の1の項の中欄に掲げる貨物については、この限りではない。」とありますし、技術の除外特例を規定した貿易外省令第9条でも一般企業が使えそうな特例はほとんど告示で1項の武器は「除外の除外」となっています。

ただし、1項の武器でも外為法の輸出許可適用除外ができるケースもあります。それは日本駐在のアメリカ軍とその関連機関です。これは常識で考えれば、そりゃそうだろって感じですが、ちゃんとその法律的な裏づけをきちんと指摘できる人は少ないと思います。

その法的根拠は、「日本国とアメリカが週国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う外国為替令等の臨時特例に関する政令」です。これを略して通称で「臨特令」と呼んでいます。

物品の輸出に関してはここの第10条で、合衆国軍隊とその関連施設(軍隊の構成員、軍属、その家族、軍人用販売機関等、軍事郵便局、軍用銀行施設及び契約者等)は外為法第48条の輸出貿易管理令・輸入貿易管理令の義務又は制限を免除する、とあります。

また、技術の輸出に関しては、この臨特例第9条で、外為法第25条第1項の義務を免除する、とあります。(実はこの”技術の”輸出のアメリカ軍による除外特例、つい最近の2009年8月14日に改正で付け加えられています。これは昨年の外為法の改正に合わせて外為令を改正したのと同じタイミングでした。つまりそれまではアメリカ軍による技術輸出は外為法上の適用除外ではなかったわけですね。うっかり忘れていたのでしょうか?)
http://hourei.hounavi.jp/hourei/S27/S27SE127.php

と、色々と書いてきましたがこの臨特令、アメリカ軍関連の仕事をしていない限り、日本の一般企業の輸出管理では関わる人はほとんどいらっしゃらないでしょう。知っていても何も役に立たないトリビアな知識ということで。。。

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