2010/01/13

Asean-India FTAの発効とその特徴

Asean-India Free Trade Agreement ("AIFTA")が2010年1月1日から発効しましたことは、年末年始に新聞紙上にAsean-China FTAやAsean-Australia New Zealand FTA などと一緒に取り上げられることが多かったので、概要はご存知の方が多いと思われます。

Asean はChina, Korea, Japan, India, Australia New Zealand とFTAを締結済み、そしてEUとも交渉中であることから、まさにAseanを中心に各経済圏と関税削減を行っていることで、グローバルな物のやりとりを計画する上で、今後ますますAsean はサプライチェーンのハブの役割を担うことになります。
AIFTAによりタイとインドの間で、関税品目数ベースで80%、貿易金額ベースで75%の品目の関税が即時撤廃され、2013年から2016年にかけて対象製品の関税をゼロにします。
一方、一部の農産品を含む489品目は関税削減の対象外となっています。

日本の新聞紙上では一般的な知識だけの報道ですが、ここではAIFTAの少し実務的な情報をAsean-Japan EPA ("AJCEP")との比較を交えて載せてみます。

  • 現在の発効国: アセアンの10カ国全部で発効しているわけではありません。2010年1月現在では、AIFTAはシンガポール・タイ・マレーシアと、相手国のインドのみです。その他の国は国内法令の準備が整い次第、ということになります。ちなみにAJCEPでは、2009年12月では、インドネシアとフィリピンを除いた他の国ではすでに発効しています。
  • 原産地証明書: 第3者証明方式で、フォームAIという証明書が必要になります。ちなみにAJCEPだとフォームAJですので、FTA協定によって原産地証明書のフォームも異なるので注意が必要です。発行機関は各国の公的機関で、例えばタイではタイ国際貿易局です。
  • 原産地ルール: 一般ルールはRegional Value Content (RVC)でFOBの35%で、HS code 変更基準だと 6桁の変更 Tariff Sub-Heading (CTSH) です。(ちなみにProduct Specific Rules (PSRs)はまだfinalize していないとのこと、そんな悠長なことでいいのかな?) AJCEPだとこの一般ルールは、RVC40% or HS code 変更4桁のCTHと異なっています。なので、もしタイで作った同じ製品でも、適用するFTAで一方は原産地資格OK, 他方はダメということもありえてしまいますね。
  • "Third party invoicing" や"Back-to-Back CO"の規定あり。これはAJCEPも同じ規定が存在します。ただしBack-to-Back COは国によって発効基準が違うことがあるので発行国に確認が必要。多くの国では税関の監督下にない限り発行はしない運用ですが、シンガポールは若干弾力的な運用で、通関後の貨物でも実施的な変更がない限り、Back-to-Back COを発行しているそうです。AIFTAでも同様な運用になると思われます。

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