2010/01/15

環境と貿易

昨日は、「環境と貿易に関するシンポジウム」を聴講してきました。
企業の実務家にとっては環境と貿易といってもまだピンとこないかもしれません。
しかし環境問題はWTOでもプライオリティの高い事項であり、専門家の方々を巻き込んで真剣な議論がなされています。将来的にどう貿易実務に関連してくるのか、いくつか実例とその問題点をあげます。

  • 環境製品と関税: 環境に良い製品の関税を撤廃あるいは安くする。環境に悪いあるいはCO2排出の多い製品の関税を高くする。これは環境保護の方向性には合致する政策ですが、実務的にどうするのかは非常に頭の痛い問題です。何を基準に環境に良い製品と悪い製品を識別するのか? CO2排出の多い国の原産品は関税を高くする? エコフレンドリーな製品の性能やスペックで関税を決めるのか? 環境関連の用途やプロジェクトに使用されるなら既存製品も関税を安くするのか? ある国で環境関連で補助金が出たら、その国からの輸出製品に対して相殺関税を課すことを認めるのか? 悩みは尽きません。
  • Carbon Leakage (炭素漏出): 排出規制が厳しくない地域に産業が移転してしまうこと。結果として地球全体の排出量が増加する可能性もあります。現在は税金が安い国に産業が移転することはよくありますが、同様にサプライチェーンが環境規制によって影響を受けることも考えられます。
  • HS code も定期的に改正があり、前回のHS2007の改正はちょうど3年前になりますが(オヤジになると時間が過ぎるのが早いので)記憶に新しいところです。WCOのアナウンスでは次回は2012年です。ここでもモントリオール議定書の ozone depleting substancesのsub-heading が新たに追加されることが決まっているなど、環境問題はHS classification の変化にもつながっていくでしょう。
まだまだ国際的な枠組みをどう作るか議論がされている段階ですので、すぐに実務でどう対処するとかいう話ではありませんが、将来を見据えて気長にwatching していきたいと思います。

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