2010/01/20

外為法の行政制裁

1月19日付けで経済産業省より、外為法に違反して北朝鮮に輸出した人に行政制裁の輸出禁止(16ヶ月)が科されたニュースリリースが出ました。この外為法第53条に基づく行政制裁は、違反した貨物のカテゴリー・輸出先だけでなく、全地域・全貨物が対象になりえますので、輸出企業にとっては第69条の6の罰金・懲役よりも怖くてインパクトがあると思います。
http://www.meti.go.jp/press/20100119002/20100119002.html

今回発表された行政制裁は「同法第53条第1項及び第2項に基づき」とあります。第1項と第2項の違いは要約すると以下のようになります。

第53条第1項: 第48条1項(貨物の輸出)の違反で最大3年間の輸出禁止
第53条第2項: 前項に規定する以外の貨物の輸出入の違反で、最大1年の輸出禁止

なので、通常、安全保障上の無許可輸出(第48条1項)の行政制裁なら第53条でも1項だけですが、今回は北朝鮮へのタンクローリーの輸出(大量破壊兵器キャッチオール違反)だけでなく、中古車やピアノの輸出も違反でした。
タンクローリーの輸出は外為法第48条1項(輸出貿易管理令第1条の”許可”を取らなかった違反)で、
中古車やピアノは、第48条の第3項(輸出貿易管理令第2条の”承認”を取らなかった違反)となります。

もし承認をとらずに輸出の行政制裁(この場合中古車とピアノなど)だけなら最大1年ですが、今回はタンクローリーが第48条1項の違反なので最大3年まで、で、結局16ヶ月(1年と4ヶ月)ということになりました。

輸出管理を勉強するときは、METIからのアナウンスの、第xx条の第xx項に基づいて、をよく理解して読むと法令の正確な理解に役立ちます。

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