2010/01/14

Voluntary Self-Disclosures

Voluntary Self-Disclosures ("VSD")という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。
違反した場合の自主開示のことで、輸出管理の世界では、特に米国で、多く見受けられます。

VSDの概要についてはBISのweb site に出ています。BISも、企業で違反があって認識した場合には、このVSDを推奨するという立場です。これによりペナルティもかなり減額されることになります。(BIS affords the submission of a VSD "great weight" in assessing and mitigating the penalty)
http://www.bis.doc.gov/complianceandenforcement/index.htm#vsd

実際にはVSDを提出しても全てがペナルティというわけではないようです。
(FY2005の例: 全体の97%は違反なし又は警告書ですみ、内訳は55%が違反認定なし、42%が警告書のみ)

ペナルティとなってしまった場合の事例も企業名・金額と共に公開されています。この数字を分析してみると、どのくらいVSDによってペナルティ金額が減額されるのか様子がわかります。実際に支払った金額とそのケースでのMaximum ペナルティの金額を比較してみました。

  • FY2007: ペナルティ17件で、VSDにより平均でMaximum ペナルティの33%まで減額
  • FY2008: ぺナルティ12件で、VSDにより平均でMaximum ペナルティの37%まで減額
  • FY2009: ペナルティ17件で、VSDにより平均でMaximum ペナルティの19%まで減額
    (2009年の数字が低いのは1件だけ3%まで減額されたケースがあるからです。これを除いた16件の平均では平均34%となります。)

一般的にVSDによってざっとペナルティは半分になると言われてきましたが、過去3年分のケースを分析すると、概ね平均30%台ですので、それは裏付けられたと言えるでしょう。もちろんケースバイケースであり、VSDにも関わらずMaxの96%のペナルティがあったケースもあります。これはイラン向けという案件の機微度、知りながらに違反した、かつVSDで嘘や不正確な証言をしたことなどが原因です。

さて日本の輸出管理でのVSDはどうなっているのでしょう? 私の知る限り、米国のような数字の統計は経済産業省からは出ていませんが、ガイドラインはあります。

http://www.meti.go.jp/policy/anpo/kanri/jishukanri/main.html
(不正輸出の通報関連  の 安全保障貿易に関する不正輸出の審査手続き pdf )

日本でも内部監査等に基づく自主的通報は、処分又は調査内容において、何らかの考慮はされるようです。経済産業省の事後審査に協力的か否かも、処分決定の考慮要因となります。

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